第10回 インタビュー
今回の男性育休推進企業インタビューは、久留米市で住宅建設を手掛けておられる従業員数43名の株式会社未来工房さんです。プライベートでは3人の中高生の母親であり、休日は部活動送迎などで大忙しの金原社長にお話をお伺いしました。
- 企業名:株式会社未来工房 代表取締役 金原 望(かねはら のぞみ)様
- インタビュアー:FJQ 樋口
Q:これまでの御社での男性育休推進の取組について教えて下さい。
特に会社として男性育休を推進してきたという意識はなく、有給を取得しやすい風土、在宅勤務等の柔軟な働き方を取り入れやすい風土などを追求していく中で、当たり前に、男女ともに育休を取りやすい職場になってきたのかなと思います。
幸い、一昨年から男性社員が育休を取得したい、と手上げしてくれたので、社内でも男性育休が浸透してきました。(育休に関する)制度面は国が整えてくれているので、あとは会社がそれに乗っかっていくだけだと思います。
Q:当たり前に取りやすい職場、理想ですね。男性育休推進には、企業トップや経営層のコミットが重要と思いますが、金原社長の関わり方はどのようなものでしたか。
当たり前ですが、会社の持続性にとって「人を大切にする」ことが最も重要なので、ここ20年間ほど、人材育成について制度改革を行ってきました。
人事考課制度を15年前に作ったのですが、評価するだけではだめで、社員と認識をすり合わせて、本人がどのように成長したいか、会社としてはどう成長してもらいたいか、といった社員側、会社側双方が納得するプラン作りを行っています。
例えば、以前は人事目標設定は決められた内容に基づいていたのですが、今では、白紙から個々人のやりたい目標を書いてもらうようにしています。その結果の1つとして男性育休も進んできているイメージです。
↓ 同社の人事制度説明資料の一部
Q:御社でこれまで男性育休を取得された方について教えて下さい。
一昨年に2名、昨年2名で計4名が取得しています。取得の意向は、2~3か月前には伝えてくれたので、会社としても準備期間を取ることができました。取得期間も、本人に任せた結果なのですが、4か月、6か月、3か月が2名と比較的、長期取得する社員が多いです。
最初に取得したのが管理職であったため、会社の中では取得ケースのモデルとなり、2人目以降が取得しやすかったのではないかと思います。
Q:長期間の取得というのは、家庭にとってはメリットですが、会社を回すにあたっては課題などありましたか?
実は、昨年取得した2人は同一の部署でした。しかも、4人からなる現場監督の部署で、2人が同時に抜けるという事態だったのですが、残った社員が業務をシェアすることの重要さに気づき、自分だけで行っていた仕事を他の社員に依頼することができるようになり、結果的にチーム力が大きく向上し、その期間を乗り切ってくれました。振り返ってみると人材育成になっており、会社としてもメリットだったと思います。
また、長期間取得した社員でも、月1日程度は本人の合意を得ながら会社に出てきてもらっており※、完全離脱ではないというのは、本人にとっても会社にとっても良かったと思います。
※労使の話し合いにより、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することは可能です。就労が月10日(10日を超える場合は80時間)以下であれば、育児休業給付金が支給されます。
(参考)厚生労働省「育児休業中の就労について」
Q:長期間の育休が逆に会社のチーム力を上げたということですね!チームでシェアする文化を作るにあたり、軋轢などは生じなかったですか?
20年に渡る組織変革の中で、まず、顧客の囲い込みは長期的に組織として効率が悪いと考え、営業職の歩合制をやめました。その結果、成果をパスし合える関係ができ、組織の柔軟性は高まったのですが、当然反発はあり、辞職する社員も出たりしました。
しかしこの長期的な改革が実を結び、現在では離職率は業界でも非常に低くなり、平均継続年数も向上し、優秀な人材の確保に寄与しています。
Q:長年の組織風土・制度づくりが実を結んでいるのですね!最後に一言お願いします。
社員一人一人の強み、弱みがあり、それぞれ適した場所で輝けるように調整するのが会社の役割と思います。ごく一部の職員におんぶに抱っこになるのが組織としては一番良くないので、社員の個性は活かしつつも、誰もが役割に応じて柔軟に活躍できる組織を作っていけたらと考えています。
例えば、家庭の事情で在宅勤務を行っている女性社員がいるのですが、オンラインで十分に後輩を育ててくれており、会社としては本当に助かっています。そのような環境を維持していけたらと思います。
男性育休が進んでおり、社員が活き活きとされている企業さんにインタビューする場合、往々にして「男性育休にどのような力を入れていますか?」という質問は愚問だと痛感するのですが、今回も、開始早々、「なぜ男性育休のことばかり言われるのですか」と指摘を受けた気がして、恥ずかしくなりました。
特に未来工房さんの場合、かなり継続的に人事制度に関して改善を重ね力を入れておられるとのことで、個の力を生かすこととチーム力の向上の両面を追い求められているお姿は、人口減少下の現代において理想的なあり方だと感じ入った次第です。ぜひ編集長の本業の方でもお邪魔させていただければと思いますので、何卒よろしくお願いします。





