小森茂弘コラム

エルマーと最後のお別れ

2025年12月28日(日)

「こどもの本専門店エルマー」(福岡県春日市)が、36年間に渡って続けてきた“絵本の世界を巡る旅”の最終日でした。

「エルマー閉店」という報道が出たのは2ヶ月前。
私は、新聞に掲載されてた記事で知って、その時は「えっ?」という言葉しか出なくて、ずっと驚いたままでした。

店主の前園敦子さん(以下:前園さん)には長年お世話になりました。
「ファザーリング・ジャパン九州」設立当初の事務所がエルマーの上(3階)にあったご縁で、閉店後に(当時の)メンバー向けに絵本の読み聞かせ講座を開いてくれたり、絵本を購入する際に諸々相談に乗ってくれたり、アドバイスをたくさんいただいたり、エルマーに訪ねてくる絵本作家さんとの繋がりをつくっていただいたりと、前園さんとは数えきれないくらいの思い出があります(設立者の宮原さんのお陰です)。

私的な思い出を挙げるとしたら、元飼育員の絵本作家あべ弘士さん、「お手て絵本」の発案者サトシンさんとの(ささやかな)交流のきっかけをつくっていただいたこと。
前園さんを抱っこしたサトシンさんとの思い出。

お食事に誘っていただいたり、講演会を一緒に聴きにいったりしたあべ弘士さんとの思い出。

一番の思い出は、ファザーリング・ジャパン九州の原点でもある「絵本の読み聞かせ」の大切さを教えていただいたこと。
娘が在園(在学)していた幼稚園、小学校で絵本の読み聞かせを続けることが出来たのも前園さんのアドバイスなしでは実現しなかったと思います。

そんな最後の営業日、前園さんは諸事情により、この日も店頭に立っていません。
それでも、店内はたくさんの来場客でごった返ししてました。
外で待機している入りきれないお客さんも多数。
有志による駐車場の案内、誘導もおこなっていました。

店内では、絵本の読み聞かせがおこなわれていました。
来月発売予定の『パンケーキ100まいたべたいの』(作・絵/石川えりこさん)の見本(発売前)が届いていたので、この日の為に岡山県から訪れていた書店経営者の方がスタッフ、お客さんの前で新作の絵本を披露していました。

店内を見渡すと、中央のテーブルに真っ白い2冊のメッセージノートが置かれていました。

中を開くと、ちいさな子どもから、ご年配の方々まで、エルマー、前園さんに関わってきた方々によるメッセージがたくさん書き込まれていました。
しばらくすると、エルマーに一冊の本が届きました。
『みんながあつこをまっている』というタイトル本が。

表紙を担当したのは『おとうさんはウルトラマン』の宮西達也さん。
エルマーと前園さん(と怪獣)を可愛く描いています。
作・文は『エルマーがだいすきなみんなより』。
中身をお見せすることが出来ませんが、エルマーにゆかりのある絵本作家さんたちによる寄せ書きメッセージがたくさん描かれていました。

入り口に置かれている木製スロープとも最後のお別れです。
エルマーと最後のお別れです。

最後に。
元気な姿を見せてお礼の言葉を直接言わせてください!
それまで待ち続けます。
私たちを“絵本の世界を巡る旅”に連れてってくれて、本当にありがとうございました!