パパインタビュー

【第5回】育休は夫婦ともに自由な働き方への足掛かりに。地域でのネットワークも広がる(富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社 福岡支社・松永拓也さん)

このインタビューは、「令和3年育児・介護休業法改正特別企画」として、産Q育Qプロジェクトのメンバーが、男性育休取得者から育休の体験談について話を伺う企画です。

第5回 パパインタビュー

Q:取得のきっかけは?

長男、次男の出産のときは1週間の休業のみでした。社内(福岡支社内)では男性社員が長期育休を取ったという話は聞いたことはなかったのですが、3人目の長女が生まれた際に、せっかくの制度を活用しようと思い、長期の育休を取得しました。実は、社内で3人目の子供が生まれたら、まとまった給付を受けられる制度があり、それも後押しになりました。

Q:それは素晴らしい制度ですね!取得時期、取得期間はいかがでした?

長女が生まれてすぐの2021年6月から取得しました。当初は2カ月の予定だったのですが、通っていた保育園を変わった事情もあり、1度延長できる制度を活用し、最終的には10カ月取得しました。

Q:10カ月とは長期ですね!取得の主な目的は?

元々、仕事は生きていくための手段の1つと考えており、それよりも、家庭生活を充実させたいという思いがありました。また、住んでいる糸島という地域にあまり知り合いがいなかったこともあり、地域でのネットワークを広げたいという気持ちもありました。

Q:会社との調整で大変だったこと、会社や上司の反応は?

実は、社内で管理職向けの「部下の育休取得時のガイド」があったんです。そういったガイドがあったおかげで、マネージャーには心づもりができていたと思いますので、会社との調整で大変だったことはありませんでした。
ただ、自分の案件を他の社員に引き継ぐのは大変でしたね。2か月前から調整し、入念に引き継ぎを行いました。

Q:引継ぎを円滑に行うのは重要ですよね。取得中の奥様との役割分担は?

私は主に上の子供の保育園への送迎を行っていました。その間、妻は赤ちゃんの世話をするなど行っていました。家事はできる方がするというスタイルでした。また、私は魚屋さんの事業支援などを行ったり、妻は糸島グルメ情報発信のインスタグラムアカウントを開設したり、日中は赤ちゃんの面倒を見ながらお互いの時間を別々に使うこともありました。

Q:新しい育休スタイルですね~。取得した率直な感想を教えて下さい。

良かった点は、家族で地域のいろんな所に顔を出せたことです。そのおかげで、仕事をしていては出会えないたくさんの方と知り合うことができました。私も妻も、新しくできた近くの友達と遊びに行くこともあり、地域のコミュニティが広がりました。

Q:(ぶっちゃけ)収入面はどうでした?

(前述の)給付金はあったものの、やはりトータルで減りはしました。10カ月取得したので、後半は育児休業給付金が67%から50%に下がりましたし。

Q:取得したことで変わったことはありますか?

10か月間、仕事から離れたことで、人生を客観的に見つめ直すことができました。ちょうど、仕事を始めてから10年という節目でしたので、これまで自分はこんなに仕事に没頭していたのに、地元の糸島では、日中地域にいて自由に仕事をしている方が多いな~、とか新たな気づきもありましたね(笑)。
育休の前後で残業時間はそう変わらないのですが、テレワークやフレックスタイムは活用してできるだけ効率的に仕事を行うようにはしています。

Q:これから取得する人アドバイスするとしたら?

アドバイスではないのですが、我が家は、4年前に糸島市に引っ越してきて、地域に知り合いが少なかったのですが、幸いにも育休期間を通して夫婦で地域に知り合いが増えたのは大きな副産物でした。
また、長期取得するなら現金を手元に置いておくなど資金計画を立てておいた方がいいと思います。

(参考)松永さんの魚さばきの活動が分かるHP「ぎょぎょたく糸島

(編集後記)

狙っているわけではないのですが、これまでの育休インタビュー者は全員30代と、私よりも1回り下の世代が多く、働き方について非常に柔軟に考えられている方が多いなと改めて感じるのですが、松永さんは、その中でも非常に柔軟なお考えをお持ちで、夫婦ともに副業的な活動にも取り組まれる(!)という驚きの育休を過ごしておられました。人生100年時代を見据えた新しい働き方が九州でも生まれてきていると強く感じた回でした。