活動レポート

【第23回】職場だけでなく、取引先にも育休取得を宣言し業務を乗り切る。育休は仕事面においても集中力を高め、業務の効率化へもつながり良いことしかない(株式会社タカギ ・有ヶ谷遼さん)

このインタビューは、「令和3年育児・介護休業法改正特別企画」として、産Q育Qプロジェクトのメンバーが、男性育休取得者から育休の体験談について話を伺う企画です。

第23回 パパインタビュー

  • 取得者:有ヶ谷 遼(ありがや りょう)さん(31歳)(勤務先:株式会社タカギ
  • インタビュアー:FJQ 樋口

有ヶ谷さんは、前回企業インタビューをさせて頂いた株式会社タカギの社員で、現在は製造本部金型部営業課に所属されています。2年前、北九州営業所にお勤めの際に、次女のご誕生に合わせて約1カ月半の育休を取得されました。

Q:取得の主な目的は?

1つは、コロナ禍で妻の里帰りが難しく、妻の出産サポートのため、もう1つは、長女が幼稚園に通っており、次女が生まれたことで寂しい思いをさせないようにケアしたいという目的でした。

Q:育休を取りたいと伝えた際の奥様の反応はいかがでしたか?

心強いけど、仕事は大丈夫?という反応でした(笑)。

Q:取得する時の会社や上司の反応はどうでしたか?

出産の半年くらい前から職場には打診はしており、特段の問題はありませんでした。また、営業所だったので、取引先にも早めに育休を取ることを伝え、相手先の会社全社にFAXを送りました。応援しているよ、という反応もあり、勇気づけられました。

取引先への積極アプローチ、すごいですね!
Q:取得中は主に何を担いましたか?

長女の幼稚園の送り迎えや弁当作り、掃除、洗濯などです。また、子どもが夜起きるので、妻と交代で夜中の対応を「夜勤」と呼んで分担していました。

Q:育休中の標準的な1日の流れを教えて下さい。

午前中は、長女を起こし、幼稚園が三つ編み必須なので(笑)、三つ編みを行い送迎、午後は次女と散歩、長女のお迎え、夕食、風呂などで慌ただしく1日が過ぎていきました。

Q:育休を取得して良かったこと、大変だったことは?

大変だったことは浮かびません。良かったことは、1か月半自分がいなくても仕事が回ると分かったことです(笑)。また、次女の成長を間近で見ることができ、心配していた長女の精神的な不安定もなく、家族で楽しく過ごせたことも大きかったです。そして、仕事面でも大きな変革がありました。

Q:その仕事面での変革を詳しく聞かせて下さい。

はい。時間に対する意識が変わりました。何事も素早く終わらせるようになりました。営業という職業柄、顧客との夜の会合も多いのですが、フレックスタイムを活用し、16時にいったん家に帰って子ども達を風呂に入れたりした後で出かける等、工夫するようになりました。

Q:仕事も家庭も両立、素晴らしいです。これからの取得を検討している人へアドバイスするとしたら?

絶対取った方がいいです。今後、組織で管理職になるためには、自分で経験しておいた方が同僚の気持ちも分かりますし確実にプラスに働くと思います。育休は、仕事面においても、集中力を高め、業務の効率化へもつながりますし、良いことしかないと思います。

(編集後記)

育休取得にあたって職場への根回しを周到に行う方は、(今回のインタビューを行う中でも)多かったのですが、取引先全てにFAXを送って理解を求めた事例は有ヶ谷さんで初めてではないかと思います。仕事への影響を最小限に止めようとする姿勢は、FJQでもよく提唱しているワークとライフの二兎を追え、に通じるところがあり、共感するとともに感銘を受けました。

育休取得に当たっては、前回タカギの人事部さんにインタビューした「育休の20日間有給化」も大いに寄与したそうで、その後、わずか数年間で多くの取得者が出ているとのことでした。ワークとライフの両立の推進が、企業を筋肉質な組織に変え、正のスパイラルを回していくことを是非タカギさんで実践してほしいと思います。

(参考)有ヶ谷さんの厚労省「イクメンスピーチ甲子園2021」決勝スピーチの模様
2021年度|イクメンプロジェクトの活動紹介|プロジェクトを知る|育てる男が、家族を変える。社会が動く。イクメンプロジェクト (mhlw.go.jp)