パパインタビュー

【第12回】現在1年間の育休中。育休初期の凹む時期を経て、達観のボーナスステージ到来。家族を幸せにすることなくして市民を幸せにできない(鹿児島市役所・森満 誠也 さん)

このインタビューは、「令和3年育児・介護休業法改正特別企画」として、産Q育Qプロジェクトのメンバーが、男性育休取得者から育休の体験談について話を伺う企画です。

第12回 パパインタビュー

  • 取得者:森満 誠也 (もりみつ せいや)さん(勤務先:鹿児島市役所
  • インタビュアー:FJQ 樋口

FJQはオール九州のパパネットワークですが、森満さんは、本インタビューで初めての鹿児島県の方です!鹿児島市役所の住宅課にお勤めの34歳で、おそらく本インタビューでも最多の長女、次男、次女の時に3回の育休を取得されています。

Q:これまで3度の育休の取得期間を教えて頂けますか?

子どもは4人ですが、第二子となった長女の時に1か月、その後、次男の時に半年、そして現在、次女の育休を1年取得中です。

Q:素晴らしい!そして期間がどんどん伸びていますね。主な取得の目的は?

子どもの乳幼児期は今しかないので、仕事をしていると子どもと過ごす時間が足りないと思ったのが一番の理由です。

Q:取得にあたって職場の反応はいかがでしたか?

初めての取得は4年前で、職場にもあまり前例がなかったため、取得の2カ月前に職場へ打診はしたのですが、最初は、男性が取るの?と面食らわれた部分はありました。その後、2度目は妻が安定期になってすぐ、3度目は妊娠5か月くらいに、と少しずつ職場への相談を早く行い、職場にとっての準備期間を意識しました。

加えて、職場でも最近は、男性育休に関する理解や風土が定着してきて、以前のように驚かれることはなくなってきていると感じています。現在では私の他に数名取得実績も出てきましたし、男性の先輩から、育休時の過ごし方等のアドバイスも受けられるようになったりしています。

Q:市役所内でも雰囲気が変わってきたのですね!取得中の奥様との役割分担はどうでした?

妻は専業主婦なのですが、1人目の時は私が仕事にかかりっきりで大変だったと思います。2人目から私が育休を取ったのですが、家事を明確に区分すると、やった、やらないの不毛な争いになるので、気づいた方がやるようにゆるく分担しています。とはいえ、今まで妻に頼りっきりだった期間が長いので、今から少しでもポイントを取り返さねば…! という気持ちで毎日精進しています(笑)。

Q:なるほど、臨機応変に対応ということですね。取得した率直な感想は?

1回目の取得は1か月でしたが、仕事の感覚で、タスクリストなど作り、気合を入れて臨んだのですが、実際には、全てが予定通りにうまくいかず、心を病みかけました(苦笑)。今思えば、乳幼児がこちらの都合通りに動いてくれるはずはないのですが、当時はきつかったです。

そして2度目の半年の育休の際、3カ月目くらいで、あ、育児って、思い通りにいかないから受け身でいいのだ、というリズムに気づき、そこからは達観して育児することができて、一気に気持ちが楽になりましたね。部屋をきれいにしないといけないなんて、二の次だ、的な(笑)。

Q:経験者にしか分からない紆余曲折ですね~。収入面はどうでした? 

1カ月、半年、1年という取得なので、給付金があってもやはり不足感はあります。ただ、それも、1度目の育休を取った時から、今後に備えて貯めておこうとか計算できるようになったので、現在は落ち着いてお金とも向き合えています。それに、今の育児の時間というものはお金では買えないものです。

Q:取得したことで変わったことや仕事スタイルへの影響はありましたか?

これまで働いていた時には、なかなか育児や家事など、家庭での業務の全体像が把握できなかったのですが、取得して身に染みて家事の量の多さが分かり、これは、夕方、職場の定時の後に残業している場合ではないと思い、すぐに帰るようになりました。同時に、身近な家事こそ大切なんだ、と気付かされました。

Q:価値の大転換が起きたのですね。これから取得する人へアドバイスするとしたら?

育児というのは想像の世界では絶対分からないと言いたいです。私は、取得により間違いなく人生が変わりました。そして、取得するなら是非、期間は半年以上をお勧めします。というのも、短期間だと、凹んで終わりになりがちで、私は、うまくいかないと凹んだ時期の後に、達観のボーナスステージが待っていたので(笑)。

Q:育児のボーナスステージの経験はきっと、今後の人生に生きてくるでしょうね!最後に一言お願いします!

これまで職場内外で公務員として、鹿児島のために、みんなのために、と頑張ってきましたが、育休を取ってみて、各方面で活躍している人の子どもは、家族は、本当は幸せだろうか、と思うようになり、自分の妻や子どもを幸せにできないような職員が市民を幸せにできるはずがない、と思うようになりました。

今では夜、妻と何気ない会話をするような瞬間に、生きている意味を感じるようになり、実は、一番近いところに宝物があったんだな、と思うこの頃です。

 

(編集後記)

4人のお子さんがいて、3回育休を取得された森満さん。3回取得というのはインタビューを初めてから最多でしたが、取材していて感じられる熱量も半端なかったです。その熱量は以下のブログやYouTubeチャンネルにも発揮されています(!)ので、是非、森満さんの育児風景をもっと見たいという方はご覧下さい。

全体を通して印象に残ったのはやはり、「育児ボーナスステージがやってきた」という言葉で、これは、まさに育休のメリットで、育休を通して少々のことではブレないパパへと進化されたのではないかと思います。家族のレジリエンスにも有効な男性育休、是非、この記事を読まれた方の取得を期待しています。

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