パパインタビュー

【第9回】育休取得により家事の多さを知り、妻に謝罪したい。パートナーとの十分なコミュニケーションが大変重要。自身の経験をもとに、「父子手帳」の作成や育休の有休化など社内の制度改革にも携わる(九州電力・帆高純平さん)

このインタビューは、「令和3年育児・介護休業法改正特別企画」として、産Q育Qプロジェクトのメンバーが、男性育休取得者から育休の体験談について話を伺う企画です。

第9回 パパインタビュー

  • 取得者:帆高 純平(ほたか じゅんぺい)さん(勤務先:九州電力株式会社
  • インタビュアー:FJQ 樋口

帆高さんは、九州電力株式会社で、現在ダイバーシティ推進グループに所属され、一人ひとりの違いを認め活かす意識醸成等の施策検討、実施を業務として担当されている32歳。2021年6月に長女が生まれた際に、約3週間育休を取得されました。

Q:取得のきっかけは?

もともと取りたい気持ちもあったのですが、子供が2021年の6月に生まれ、8月に異動した現在の部署で、上長から勧めて頂いたのが大きかったです。その後、仕事で知り合ったファザーリングジャパン九州の森島代表に「帆高さん取らないの!?」と言われたのも、後押しになりました(笑)。

Q:取得時期は、2022年の4月末ということですが、奥様の仕事復帰のタイミングですか?

そうです。妻の職場復職が2022年の4月だったため、そのタイミングに合わせ取得しました。その頃は子供が1歳になる前で、これまでになく発熱など体調不良が多くなり、ケアが必要な時期でした。慣らし保育を経て保育園に行き始めたのですが、入園2日目から発熱の呼び出しがあり、面食らいました。3週間育休を取った中で、保育園呼び出しからの病院通院は3~4回ありました。週1以上で、ほとんど保育園に通えない状況でした。

Q:1歳前後は特に発熱等、病気が多いですもんね。奥様にとっては復職直後で何度も休むのは大変だったはずで、そこを夫婦で乗り切ったのは大きいのではないでしょうか。取得にあたり、会社との調整は大変でしたか?

もともと上司から勧められたこともあり、職場の理解は大きかったのですが、異動後の職場が上司と2人のグループだったので、上司に業務が偏るのが申し訳ないとは思いました。

Q:取得中は主に何を担われましたか?奥様との役割分担は?

基本的に家事育児は全て担当しました。料理はもともとある程度できましたので、メニューを決めて対応しました。離乳食も、作り置きできる冷凍保存パック等を活用しながら作りました。また、家事をこなした上で、妻とバトンタッチし、自分のライフワークである柔道の練習を夜間に行っていました。

Q:取得した率直な感想は?

これまで、家事は半分くらい自分がやっているという自負がありましたが、実際にはその3倍くらいやることがあることが分かり、妻に謝罪したい気持ちです(苦笑)。気づいたら5キロやせてました。。家に帰っても「仕事で疲れているのだから休ませてよ」と今までは思うこともありましたが、それだったら「育児しているのだから休ませてよ」の気持ちもあるよなぁ、と気づくことができました。

Q:そのような気持ちを元に、会社でも男性育休推進の取組を進められているとか。

はい。1つは、社内向けの父子手帳「PAPANOTE」(※写真)を作成し、男性の育休取得によってもたらされるメリット(子供の成長への立ち合い、夫婦の関係改善、仕事の生産性アップ、会社や職場への貢献意識の向上など)や、パパとしての心構えなどを盛り込んでいます。もう1つは、2022年4月から、育休のうち10営業日を有給化する制度改正を行いました。そして、お子さんが生まれた従業員が「2週間以上の育休を取得すること」を会社全体で推奨しており、所属長が面談で育休取得の後押しを行う等により、2023年度に男性育休取得率をこれまでの10%以下から100%にすることを目標にしています。

社内向け父子手帳「PAPANOTE」

Q:おお、自らの体験から制度改正、素晴らしいですね!取得後で仕事スタイルへの影響はありましたか?

進捗を見える化するなど、明日には出社できないかもという思いで、仕事に向き合うようになりました。また、定時でいかに帰るかを真剣に考え取り組むようになりました。当然、生産性は上がったと思います。

Q:最後に、これから取得する人アドバイスするとしたら?

大変なことも多いですが、是非とも男性も育休を取得した方が良いと思います。子供もより甘えてくれるようになりましたし、仕事面でも効率化等、自分にとってのメリットも多いことを実感しました。他方、ひとりよがりにならないように、パートナーとの十分なコミュニケーションは大変重要だと思います。育休を取得する目的や、育休中に自分が何をするのか、明確にすると良いと思います。

 

(編集後記)

 九州電力の柔道部という帆高さんは、画面越しでも大きそうでした(笑)。子供の発熱からの保育園迎えのエピソードは、私自身とも重なるところがあり、大変共感しました。果たして世の中のどのくらいのお父さんが、この時期の子供の病気の頻度をご存じでしょうか。また、現在、ダイバーシティ推進の部署におられるということで、育休の経験を生かした社内を巻き込んだ取組にも大変感銘を受けました。九州電力の父子手帳、個人的には是非一般公開してほしいなぁと思います!!今後も地域の中核企業としてのダイバーシティ推進に期待しています!