パパインタビュー

【第19回】家族との時間を確保するため、仕事は時間配分を意識し効率的に業務を行うように。育休中に自分がやりたいことは、妻や周囲と共有したほうが良い(福岡市役所・楠本賢司さん)

このインタビューは、「令和3年育児・介護休業法改正特別企画」として、産Q育Qプロジェクトのメンバーが、男性育休取得者から育休の体験談について話を伺う企画です。

第19回 パパインタビュー

  • 取得者:楠本 賢司(くすもと けんじ)さん(42歳)(勤務先:福岡市役所)
  • インタビュアー:FJQ 樋口

楠本さんは、福岡市役所で現在、企業誘致関連の仕事に従事されています。6年前に第三子となる女児を授かった際に、約2か月半の育休を取得されました。

Q:取得の主な目的は?

取得当時、長男は6歳、次男は4歳というところに、長女が生まれたことで、3人育児になり子育てが大変になるということで、上の子2人の保育園の送り迎えを行おうと思ったのがきっかけでした。

Q:取得はもともと予定されていましたか?職場への調整はいかがでしたか?

はい。3人目は取得しようと思っていたので、妻が安定期に入ったタイミングで上司にはすぐ相談し、取得の半年前には理解してもらっていました。

Q:取得を打診した際に、会社や上司の反応はいかがでした?

早いタイミングで打診したこともあり、スムーズでした。また、私のプライベートなメールアドレスやSNSを同僚に公開し、リアルに出勤しなくても連絡は取ってもいいからね、というのを宣言しており、お互いにメリットがあったのではないかと思います。

Q:連絡先公開!職場と楠本さん双方にとっての安心材料になったのですね。取得中は主に家庭で何を担いましたか?

家事全般をやりました。また、育児では、主に上の子2人は私が面倒を見ることにして、下の子に妻が余裕を持って向き合えるようにしていました。

Q:育休中の標準的な1日の流れを教えて下さい。

主に以下のような流れです。

  • 朝食づくり
  • 長男、小学校へ
  • 次男を保育園へ送り、帰り道で買い物
  • 洗濯、昼ご飯(楠本さん、奥様、長女)
  • 長女と遊び
  • 長男が小学校から帰宅
  • 次男を保育園にお迎え
  • 夕飯づくり(楠本さんか奥様)
  • 風呂、就寝

Q:ありがとうございます!正直、なかなか休む暇もないですよね。取得して良かったこと、大変だったことは?

大変だったのは、自分の時間がなかったことですね(苦笑)。良かったことは、今回、妻は里帰り出産しておらず、へその緒を切った時からずっと子供と一緒にいたので、育児参加の当事者になれたという気持ちが大きかったことです。

Q:収入面はどうでした? 

取得期間中は給付金の支給率が67%であったため、社会保険料の免除等もあり、あまりダメージはなかったです。収入減の可能性に備え、準備も行っていました。

Q:取得したことで変わったこと、仕事内容、仕事スタイルへの影響はありましたか?

とにかく家族との時間を確保したいという風に意識が変わりましたね。例えば、朝ご飯を週末に1週間分仕込んで料理の時短を実現することで、家族と向き合う時間が増えています。また、仕事面でも、上司や同僚がいなければできないことのみ勤務中に行い、自分1人でできることは通勤中に行う等、時間配分を意識し効率的に業務を行うようになりました。

Q:これから取得する人へアドバイスするとしたら?

育休中に自分がやりたいことは、妻や周囲と共有したほうが良いと思います。周りから何を求められているのかというのは重要で、例えば家事を求められている時に家事がやれない人は、取らない方が良いと思います。

Q:その他、育休制度などに関するご意見があればお願いします

今回、法改正で妊娠・出産の申し出をした労働者に対し、個別の周知・意向確認義務が事業主に課されることになりましたが、まさに上司がイクボス的に、フラットに育休取得に関して部下と会話できるような環境の醸成が必要と思います。また、これは制度に関してではないですが、取得する側の家事レベルも必要だと思います。

 

(編集後記)

福岡市で商工関係の業務を担われていると聞いて、勝手に親近感を感じインタビューをさせて頂いた楠本さん。柔らかい語り口の中にも非常にしっかりされている印象を受けました。育休には家事のレベルも重要、というご指摘はごもっともと思いました。最近は料理アプリが充実しているので、料理をあまりやったことのない人でも育休中のスキルアップも可能だと思います。

また、「家庭科のスキルよりも、決まった金額以内で夕食を用意するスキルも重要」というお言葉には大いに同意しました。家事も仕事と同じようにマネジメントだなぁと改めて感じた次第です。