パパインタビュー

【第15回】同僚の「あなたの育休は死んでも取らせる」という言葉は、一生忘れない(古賀市役所・永延祐介さん)

このインタビューは、「令和3年育児・介護休業法改正特別企画」として、産Q育Qプロジェクトのメンバーが、男性育休取得者から育休の体験談について話を伺う企画です。

第15回 パパインタビュー

  • 取得者:永延 祐介(ながのぶ ゆうすけ)さん(43歳)(勤務先:古賀市役所
  • インタビュアー:FJQ 樋口

永延さんは先日インタビューさせて頂いた飯塚市役所の藤嶋さん亀口さんに続く自治体職員さんで、福岡県の古賀市役所にお勤めです。約1年前の令和3年10~12月にご長男の誕生に合わせて2か月の育休を取得されました。

Q:取得の目的は?

当初の目的としては子どもと向き合いたい!ということでしたが、実際取ってみたら、妻の体調ケアにも役立ったと思います。

Q:取得はもともと予定されていましたか?取得に当たり、職場に根回し等を行いましたか?

もともと子どもが産まれたら育休を取ってみたい、と思っていたので、妻が安定期を過ぎたあたりで当時の所属課や人事に早めに打診しました。

Q:取得時期としては、どのタイミングでしたか?

生後1ヶ月は妻の実家でお世話になったので、妻が自宅に帰ってくるタイミングで取得しました。有給1ヶ月プラス育休1ヶ月の合計2ヶ月間取得しました。

Q:取得中の奥様との役割分担は?

基本的に朝は妻、昼は交代で、夜は自分が息子の面倒を見て、家事は料理が妻、掃除と洗濯は手が空いたほうがする、という感じだったと思いますが、あまり厳密に決めすぎずアバウトに決め、やれる方がやるという形を取りました。

Q:そうですね。役割分担が「押し付け」になると論外ですもんね。職場との調整は大変でしたか?

いえ。上司や同僚、人事はとても良いことなのでぜひ取ったほうがいい、という反応だったので助かりました。職場では私を除いても人数はある程度いたのですが、やはり自分が担当していた仕事の割り振りなど、戦力的には不足していたのではないかと思います。事前に仕事が円滑に回るように準備は行いましたが、やはり大変だったようなので、仕事を回してくれた職場にはとても感謝しています。

Q:取得した率直な感想は? 

(今でもそうなのですが)正直なところ、ずっと眠い、という感じでした(笑)。ただ育休を取って、子どもと四六時中向き合える時間が取れ、家事やこの時期の育児といったあらゆる経験ができ、育児で「できない」と感じることがなくなったので、子育てに自信が持てるようになったと思います。

Q:収入面はどうでした? 

(保険料等)免除されるお金もあり、育休1ヶ月は、それほど手取所得に影響はない、と思います。また、1ヶ月以上はボーナスとかにも影響するので、影響しないよう、有給で調整しました。

Q:取得したことで変わったこと、仕事内容、仕事スタイルへの影響は?

子どもが産まれてからは、とにかく時間が大事!残業しないように頑張りましたが、季節で業務量が変動する部署だったので、どうしても業務が片付かない場合は、職場に相談して、一旦帰って子どもが寝てから再出勤したりしていました。(当時の)職場は相手がいるというよりも、自分でコツコツやる仕事が多かったので可能だったのかな、と思います。

Q:再出勤は大変だったと思いますが、家庭との両立は素晴らしいです。これから取得する人へアドバイスするとしたら?

自分も先輩達に「ここできちんと(育児を)やらないと一生言われるぞ」と脅しをかけられましたが(笑)、実際やってみて、産まれてすぐの時期は、とても大変な時期だと痛感しました。このような時期にできるだけ早く、育休を取ったほうがいいな、と思いました。

Q:その他、育休取得中に印象深かったことなどありますか?

自分が育休を取ろうとした時期に、職場にトラブルがあり、正直育休取るのは無理かな、妻に頭を下げて育休諦めようかな、と思った時期がありました。その時、とある同僚が、「心配するな、あなたの育休は死んでも取らせる。」と言って背中を押してくれたんです。多分このことは、一生忘れないと思います。

お金のことや、利用しやすいよう制度を整備することも大事だと思いますが、本当に育休を取れる職場というのは、こうやって同僚や上司が背中を押してくれる職場だと思います。

 

(編集後記)

非常に和やかな姿勢でインタビューに答えてくれた永延さん。最近開催された古賀市役所内での育休取得者による座談会にも参加され、男性育休の素晴らしさを職場内にも発信しておられるそうです。育休取得の前後は税務をご担当されており、年度末などは業務量が増加し大変で、記事にもあったように仕事→家庭→再出勤というハードワークをこなされていたということで、大変だったと思います。

しかし、そういった時期を乗り越えられたのも、同僚や上司が育休に非常に協力的だったということが大きかったのではないかと思います。市役所の中でもこの1年で11名の取得者が出ているということで、ファーストペンギンとして体験を広めていって頂きたいと思います!