企業/自治体インタビュー

【第2回】市長と育休取得職員の座談会を開催!地道な取り組みの積み重ねで取得率も上昇中(福岡県古賀市役所)

第2回 インタビュー

  • 自治体名:福岡県古賀市役所 人事秘書課 村山様・苗代様
  • インタビュアー:FJQ みね・樋口

――古賀市役所の男性育休の現状やこれまでの取り組みなどについて教えてください。

特定事業主行動計画を策定し、定期的な見直しを行いながら男性育休推進を継続しています。
男性育休取得率については、令和2年は目標50%に対し実績は29.4%と届きませんでした。
しかし、職員向けに取得向上の資料作成を進め、これを対象者と所属長に配布するなどの取り組みを行ったことで、令和3年には57.9%と目標値を上回ることができました。
最近では、男性職員から「子どもが生まれたら育休を取得したい」といった相談を受ける機会も増えており、職員の意識の変化も感じています。

――田辺市長と男性育休取得職員による座談会を開催し、その様子を全職員へ発信されたそうですね!とても先進的で興味深い取り組みだと感じました。どのようなきっかけで座談会を開催することになったのでしょうか?

育児・介護休業法が改正され、その内容を庁内に周知していこうと考えていたところでした。
龍ヶ崎市などでは首長と男性育休取得職員の座談会が開かれているという情報がありました。
トップである田辺市長も男性育休推進に意欲的であり、古賀市でも座談会を実施し、制度周知の機会に併せて座談会の様子を発信することにしました。

――開催にあたり、工夫したことなどはありますか?

なるべく多様なロールモデルを示すことができるよう、2・3日~2ヶ月まで様々な取得期間の職員に呼びかけ、座談会に参加してもらいました。
座談会は業務時間中の開催のため、職務への影響を考えて参加職員の所属が重ならないよう配慮しましたが、副次的に参加者に多様性が生まれよかったです。

――座談会の様子を具体的に教えてください。

法改正による「産後パパ育休」が施行となる前の9月某日、1時間強の座談会でした。
市長・育休取得職員6名・事務局として人事秘書課の2名が参加しています。

トピックは、次のような内容でした。

  • 育休取得の理由・きっかけ
  • 育休取得期間・時期
  • 育休取得にあたっての気がかり
  • 実際に育休取得してみてどうだったか

「子どもが好きだから」「パートナーと協力して子育てをしたいから」という理由で育休を取得される方が多く、取得時期としては出産直後という方がほとんどでした。

参加職員の皆さんからは「取得してよかった」「得られるものが多かった」という声を得られ、私たちとしてもとても嬉しく思いました。
育休を取得することで、仕事面・生活面双方の充実につながることを期待しています。

その一方で、金銭面に不安を感じたり、「職場へ迷惑がかかるのでは」と気がかりに思う職員が多いことがわかりました。
また、「職場の繁忙期と育休取得希望時期が重なったことで、想定よりも短い期間しか取得できなかった」といった声もありました。
育休取得者自体は増えてきましたが、まだ取得期間が短いと感じるので、今後は希望取得期間のマッチングなどを進めていきたいです。

――男性職員も育休取得することへの前向きな声が聴けたと同時に、人事担当課としても今後の課題なども見えてきたのですね!この座談会は、庁内で全職員に向けて発信したと伺いました。どのような方法で発信をしたのでしょうか?また、何か反応はありましたか?

座談会の様子は文書(下記画像)にまとめ、職員全員の閲覧できる庁内イントラに掲示をしています。現時点では具体的な効果を確認することはできていませんが、今後取得を考える職員やその上司の参考になることを期待します。

この文書をPDFで開く

――今回の座談会は、市役所職員への制度周知や意識づけを狙った取り組みだったかと思います。今後、男性育休推進のために市内事業所などに向けて対外的な取り組みを行う予定はありますか?

田辺市長の発信を通じて、当市の取り組みを市役所外に広く知っていただく機会も増えています。まずは市役所内で積極的に取り組みを行い、市内事業所へよい波及効果が生まれることを願います。
また、対外的な取り組みを行うことになれば、他部署と連携を図りながら前向きに進めていきたいと考えています。

――市役所から市役所外まで、今後も男性育休推進の輪が広がっていくことを願います!貴重なお話、ありがとうございました。

 

(編集後記)

パパインタビューに登場した永延さんの勤務先である古賀市役所、今回は自治体インタビューとして組織側の取り組みにフォーカスしました!
男性職員の育休取得率が1年間で29.4%から57.9%と着実に上昇しているのは、地道に取り組みを積み重ねてこられた成果なのだと思います。
座談会では、取得者のリアルな声から「希望取得期間のマッチング」や「上司の理解促進」、「当事者の金銭面の不安解消」といった新たな課題を見出し、今後に活かしていこうとされていることも素敵ですよね。
また、私が今回の座談会の開催を知ったきっかけは、田辺市長のFacebook投稿でした。リーダーが男性育休推進に前向きであり、日頃から職場の内外へ思いを発信されていることが、組織全体の風土の醸成にも大きく影響しているように感じました!