このインタビューは、「令和3年育児・介護休業法改正特別企画」として、産Q育Qプロジェクトのメンバーが、男性育休取得者から育休の体験談について話を伺う企画です。
第31回 パパインタビュー
- 取得者:吉本 大祐(よしもと だいすけ)さん(33歳・公務員)
- インタビュアー:FJQ 樋口
吉本さんは、福岡県内にお住まいの公務員。現在外部機関に出向中で、現在はスタートアップ創出支援の仕事をされています。
2023年2月から、第一子となる男の子の出生に合わせて1か月の育休を、そして1年ほど間隔を空けて2023年12月から1か月、分割取得されました。

Q:取得の経緯は?
出産直後の1カ月の取得は、妻の体調ケアが主な目的です。子どもを産んだ直後は交通事故にあったような体調になると聞いており、男性には分からない体験ですが、少しでも支援できればと思いました。
(分割しての)2回目の取得の時は、離乳食が始まってくる時期でつかまり立ちをするなど、育て方もだいぶ変わってくる頃で、早く育て方を覚えて自分だけのワンオペになっても大丈夫になりたかったからです。
Q:取りたいと伝えた際の奥様の反応はいかがでしたか?
前々から取得するつもりであることは伝えていたので、自然な反応でした。
Q:取得にあたり、職場とはどのように調整を行いましたか?
妻が安定期に入った頃、上司に相談し、積極的に取得を応援するとの反応でした。
Q:取得中は主に何を担いましたか?
1回目の取得の際は、妻の回復が優先だったので、授乳以外の家事をほぼ担いました。2回目は、1年ほど経過していたので、妻と家事育児を分割し行いました。子どもが生まれる前から家事の分担はあったので、そこまで苦労せずスムーズに分担できたと思います。
Q:育休中の標準的な1日の流れを教えて下さい。
1回目の取得の際はこんな感じでした。
(AM) | 5時:起床(泣き声で起こされる)、朝ご飯の用意 午前中:子どもと遊ぶ(妻は授乳以外寝たきりの感じ) |
(PM) | 12時:昼食の準備、午後:洗濯、掃除など 18時~:夕食の準備、子どものお風呂 ※夜中:子どもが定期的に起きるため、夫婦で交代して対応 |
Q:取得して良かったこと、大変だったことは?
夜中は子どもが3時間ごとに起きるので、夫婦で交代して対応していました。ここをサポートできたことは良かったと思います(妻1人で対応することを考えるとその大変さにぞっとします・・)。また、日中、子どもをずっと見ていたので、初めて立った時や寝返りをうった時にも立ち会うことができて感慨深かったです。
大変だったのは、初めての子どもだったので夫婦で育児について何が正解か分からず悩むことも多かったことですね。ミルクの温度や飲まない時の対応など・・・

Q:収入面はどうでした?
2回に分けて1か月ずつ取得したのですが、1カ月未満だと賞与に影響のないこと等を調べていたため、影響は少なかったです。
Q:取得したことで仕事スタイルへの影響はありましたか?
元々働き方は合理的に考える方でしたが、今も家族第一で働いています。
Q:これから取得する人へアドバイスするとしたら?
一番大切なのは妻を思いやることだと思います。何に困っていて何をしてあげられるかを考えてほしいと思います。夫は出産という大仕事をしていないので(妻を)気遣うのは当然と思います。
Q:FJQが提唱する「男性育休10か条」について、感想をお願いします。
特に「1.夫婦コミュニケーション」が重要と思います。また、感想ですが、「9.成果志向」の「6 割の出来で上司に相談し、早く仕事を終わらせよう。」は、部下だといいのですが、今後は上司の立場にある人も取得が増えると思うので、それに見合った内容もあるといいなと思います。
Q:アドバイスありがとうございます。確かに上司の目線でどのようにチームマネジメントし、時間を確保するのかの視点も重要ですね!最後に、育休制度がもっとこうだったら良い等、ご意見等あればお願いします。
近年、夫婦で取得すると期間が伸びる等、公的な支援制度は充実してきたと思います。今後は、育休を取る人を支える人にもっと目を向けるべきかと思います。小さな企業や組織ほど余力がなく、1人欠けると仕事が回りにくいため取りにくい環境にあると思うので、育休取得者は育児に専念でき、周りはそれを支えることができるような社会になると良いと思います。
これまでインタビューを行った方の中でも数少ない「分割取得」をされた吉本さんの動機は、「妻の体調支援」、「育児スキル向上」ととても明確で、現在、なんとなく育休取得を考えているような方には是非参考にしてほしいと思いました。
最後に吉本さんが言われていた「サポートする側の支援」は、以下の九州電力など複数の民間企業で既に取組が始まっており、今後もチームとして取得者を支援する動きは広がっていくのではないかと期待していますし、FJQでもそのような動きをまた企業インタビューなどで紹介していきたいと思います!
🔗(参考)九州電力HP「育児休職者が所属する職場の従業員に「育児サポート応援金」を支給します -職場全体で育児を支え合う風土を醸成-」