第7回 インタビュー

今回の企業インタビューは、社会保険労務士法人、行政書士法人、地方創生関連業務やワーケーション等の業務を手掛ける株式会社ホンプロといった総勢50名以上の法人経営を行うアドバンスグループの伴代表に男性育休推進のお話を伺いました。
- 企業名:アドバンスグループ 代表 伴 芳夫(ばん よしお)様
- インタビュアー:FJQ 樋口、みね
――これまでの男性育休推進の取組を教えて下さい。
10年程前にグループの代表に就任した際、男性育休を普通に取得できる組織にしたいと考え制度化も進めました。すぐに制度化したものは、育休を取った最初の5日間を男女ともに有給にするというものでした。
会社から「公休日も併せて連続で最低でも9日間は休んでください」というメッセージを出すことで、育休を取得しやすい社内風土づくりを図りました。

――代表就任直後に制度化とは素晴らしいですね!男性育休推進には、企業トップや経営層のコミットが非常に重要と思いますが、御社は如何でしょうか。
前提として、男女を分けて考えるのはおかしいと思っています。男性も女性も貴重な戦力なので、取得も復帰も応援したいです。
世の中の経営者の中には、戦力が抜けるので取らせたくないという方もおられるかもしれませんが、やる前から怖がっていても仕方なくて、何でもやってみたらよいと思います。変化することに柔軟に対応できる組織の方が強いですよね。
――御社でこれまで男性育休を取得された人数、期間を教えて下さい。
母数が少ないため大きな数字ではないですが、10年程前から数えると3名が、のべ7回取得しています。期間は様々ですが、最大で3か月取った職員もいます。
――のべ7回というところに、取得しやすさが現れていますね!男性育休取得による会社にとってのメリットを教えて下さい。
積極的に働き方改革に取り組んだことで、「くるみん」認定や「福岡県働き方改革実行企業(よかばい・かえるばい企業)」の大賞を受賞するなど、会社のPRにもつながりますし、採用にもプラスに働いています。

また、職員が育休から復帰しやすい環境にもつながっているのですが、2人1組で情報をシェアし働く体制を確立しており、1人が一時的に欠けたとしてもチームでカバーできる持続力の高い組織につながっていると思います。1人が何でも抱え込むのは組織のBCPの観点からも危険です。

――社内で男性育休取得を推進していく上での課題感はありますか?
これは男性に限らず女性もですが、やはり、育休を取ると会社に来ない期間ができるわけですから、職員のキャリアの遅れにつながることは心配しており、できるだけ早く復帰できる環境づくりに力を入れています。
職員それぞれが個別の事情を抱えており、できるだけ寄り添っていけたらと考えており、例えば1on1で気持ちを受け止め、対応できる働き方を一緒に模索したりしています。以前も小1の壁で正社員を続けるのが困難という方がおられましたが、働き続けられる方法を共に考えていきました。
――御社は社労士法人もされているので、顧客である企業等へ働き方に関するアドバイスをされることはありますか?
顧問先の企業への従業員への向き合い方についてアドバイスすることはあります。人材難の時代の中、辞められるよりは一時的に休業された方が随分ましで、働き方の環境を整えることが企業のリスクヘッジになると説明しています。そして働き方を見直し、とにかく早期復帰できる環境を作りましょうと言っています。
――早期に復帰したいと思える企業の方が競争力は高まりそうですね!その他、男性育休推進に向けて社会に発信したいこと等ございましたらご自由にお願いします。
労働力人口が減少する中で人は財産です。助成金などの国の支援制度も充実してきていますし、活用しない手はなく、働く人に残ってもらうようどう寄り添うかが重要だと思います。
他方、人材はもはや1つの組織で抱え込むものではなく、たとえ正社員から非正規雇用や委託関係などになっても、会社に継続して関わってもらえるだけでありがたいことで、何らかの「ステークホルダー」として、広い社会の中で活躍を応援できるような関係性を作っていけたらよいと思います。

穏やかな語り口の中にも終始、社員の働き方に対する確固たる信念が感じられた伴さんのインタビューでした。
育休をどのように取らせるかも大事だが、「いかに復帰しやすい環境を整えるか」という、復帰時の精神的ハードルを下げることを強調されており、働き方への理解に加え、職員のキャリアパスも同時に寄り添っていこうというお考えに大変共感しました。
社労士という企業に対して非常に影響力の高い専門家集団としての取組も進めておられ、業務として働き方改善を推奨する立場としての今後のご活躍談もぜひまたお伺いしたいと思いました。