第9回 インタビュー
今後、当NPOの男性育休推進企業インタビューでは、地域経済を支える中小企業の皆様への取材にも力を入れていきたいと考えています。なんといっても中小企業さんの魅力は、経営層の意識が変われば容易に会社の方針転換が可能になるフットワークの軽さだと思います。
今回は、福岡県久留米市で太陽光発電、蓄電池、オール電化製品等の販売、施工を行っておられる株式会社ECOMで、社長の妻でもあり、経理業務等を担当されている古賀様にお話を伺うことができました。
- 企業名:株式会社ECOM 経理担当 古賀様
- インタビュアー:FJQ 樋口
会社外観Q:近年、男性育休を取得する男性社員が増えているそうですね?
はい。近年、時代も変わりつつあり、男性の育休もなんとかならないかと考えていたところ、外部の方から国の助成金(※)を紹介いただいたことがきっかけで、「本人だけでなく、会社にとってもメリットがあるのであれば、うちもやってみよう」と取り組みました。
Q:近年、会社にとっての給付金等も充実していますよね。社内で男性育休に向けた体制づくりを進める中で困難等ありませんでしたか?
実際のところ、全従業員が11名で、うち男性が9名のため、1人抜けると戦力ダウンになり痛手ではあります。
ただ、介護等と異なり、取得期間は最初から分かっており、例えば1か月間会社が大変であったとしても、それが何度も続くわけではない、何より従業員が満足すればメリットは大きいと、夫である社長を説得し、取得にこぎつけました。
Q:ボーリングの1番ピンが倒れた瞬間ですね!取得に至った方の反応はいかがでしたか?
「え?取っていいんですか?駄目だと思っていました」という反応でした(笑)。
Q:男性育休を推進された結果、会社にとって良いことはありましたか?
仕事のやりくりは大変でしたが、職場内に「何でも相談していいんだ」という空気感が生まれ、従業員と経営層の距離が以前より近くなったと思います。その結果何でも相談しやすい組織になり、社員満足度も向上していると感じます。そして、離職防止にもつながっているのではないかと思います。
社長(左から2人目)と社員の皆様Q:それは素晴らしいですね。これまで3名の男性職員の方が取得されたそうですが、主な取得実績を教えて下さい。
1人目は2週間取得しました。2人目と3人目はともに1か月取得しました。
2人目と3人目は、社内に4人しかいない技術職で、ちょうど子どもが生まれた時期も一緒だったので、「同時に取得してしまうと、業務上、かなりまずいかもしれない・・・」と、笑顔の裏側でかなり焦っていたのですが(笑)、驚いたことに、その2人で自発的に相談・調整してくれ、取得期間をずらしてくれたんです。2人は、出生直後と妻の復職前というそれぞれ異なる時期に取りたいと思っていたとのことも分かりました。
Q:これまた素敵なエピソードですね。部下連携が進んだという思わぬ効果ですね。そのほか、従業員の働き方改善、やりがい向上のために行われている取組などございますか?
このような業態なので、土日の現場施工を依頼されることが多いのですが、日曜日に工事を行うのをやめたことです。お客様には、「申し訳ないですが、平日か土曜で選んでください」と伝えるようにしています。
Q:我々消費者が変わらないといけない部分でもありますね。最後に、男性育休推進に向けて国や社会への要望等ございましたらお願いします。
会社向け助成金制度や本人にとっての社会保険料免除等は大変有益なので、継続してほしいと思います。私自身、ワンオペで3人の子どもを育てた経験がありますが、男性育休は数えきれないほどの「名もなき家事」に気づくチャンスであり、最初の1か月は全ての男性に義務付けてほしいと思います。
懇親会の模様
今回は、まさにECOMさんで男性育休推進の原動力ともいえる、社長の妻であられる古賀様にお話を伺い、お取組の苦労も達成感も一緒に味わうことのできる得難いインタビューとなりました。社長の説得はさらっとおっしゃっていただきましたが、並大抵ではなかったのではないかとも思います。
また、FJQでは、理想のワークライフバランスを追求するために部下同士の連帯を推奨する「部下ヂカラ」を提唱しておりますが、まさに、部下同士の連携で技術職の方がお互い育休を確保されたようなお話は、私も記事にしながらうるっとくるものでありました。
男性育休は名もなき家事に気づく「家庭内留学」です。引き続きECOMさんでも推進いただくことを期待しています!



